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Articulo de DAI FUJIMOTO vol.2
2005年12月03日
監督を代えても歴史は変わらず
レアル・マドリーが監督問題で揺れている。マドリディスタ達は監督を替えろとフロレンティーノ・ペレス会長に要求し、ルシェンブルゴ現監督の後任候補にはベンゲル(アーセナル)やカペッロ(ユベントス)、モウリーニョ(チェルシー)等、錚々たる名前が挙がっている。
レアル・マドリーに監督交代論が出るのは、今シーズンこれで2度目。1度目はシーズン始まって間もない9月のこと。リーガの第2節、ホームでセルタに2−3で敗れると、チャンピオンズリーグのリヨン戦に3−0、そして第3節エスパニョールに1−0とまさかの3連敗を喫し、ブラジル人監督は窮地に追い込まれた。しかし、そこから軌道修正に成功し、リーガ4連勝を飾るなど一時は順位表のトップに躍り出た。それが今、状況はまるで時計の針が戻ったかのようになってしまった。
順位表を見てみよう。レアル・マドリーは下位に停滞しているのだろうか?いや、彼らは現在6位である。首位バルセロナとの間に勝ち点差6がついてしまっているのは痛いところだが、シーズンはまだ13節を消化したのみ。挽回のチャンスはいくらでもある。さらにチャンピオンズリーグに話を向ければ、マドリーは残り2節を残し早々とグループリーグ通過を決めた。初戦でリヨンに完敗を喫したときには、マドリーは予選突破をかけて最終節まで苦しむと予想されていただけに、この結果は及第点どころの話では無い。
客観的に成績を振り返って見る限り、監督の解任が必要な状況ではない。ではなぜマドリディスタ達は監督の更迭を望んでいるのだろう。そのキーワードは、お察しの通り“11月20日”である。その日サンティアゴ・ベルナベウはバルセロナの「支配下」に置かれた。フランコ独裁政権を機とする首都マドリーとカタルーニャ地方の戦い。両クラブはそれぞれの地方を代表する存在であり、レアル・マドリーとバルセロナの試合、通称クラシコにはサッカーの試合を超えた色々な歴史的ないきさつ、そして複雑な人々の感情が入り混じっている。負けられない試合であることはマドリーにとってもバルサにとっても一緒である。しかし、より負けられないのは圧倒的にホームチームである。
11月20日に行われたクラシコ、場所はマドリー、サンティアゴ・ベルナベウスタジアム。そこでマドリーは0−3と歴史的な敗北を喫した。ロナウジーニョが試合を決定付ける3点目を決めると、観客席からバルサに向かって拍手が捧げられた。それは自チームのふがいなさを皮肉る自虐的な意味よりは、遥か遠くに行ってしまったライバルが見せた素晴らしいプレーに対する純粋な賞賛だった。マドリーの敗戦を目の当たりにしたくない熱狂的なファンは試合終了前にスタジアムを後にし、残った数少ないバルサファン、そして敵、味方関係なく素晴らしいプレーは称えるという考え方を持った、よりニュートラルなマドリディスタだけがベルナベウに留まった。そう、そのときスタジアムに残っていた人たちは全員バルセロナのプレーに心を奪われた人たちであった。
翌日レアル・マドリーのMFグティは「一人のマドリディスタとしてあの光景は心が痛んだ」と語った。
完敗
そしてその試合は両チームの歴史に大きな跡を刻んだ。バルセロナにとっては、クラブ史上にいつまでも残るだろう輝かしい一日。マドリーにとってはクラブ史から消し去りたい、忌々しい一日。
もし今シーズン、レアル・マドリーが見事な巻き返しを見せてリーガを制したとしよう。しかし、それでもマドリーがカンプノウで0−3以上の勝利でリベンジでもしない限り、マドリディスタの溜飲は下がらないであろう。
しかし、マドリディスタもクラシコの敗戦の全責任が監督にあったわけではないことは理解しているだろうはずだ。あの時、ロナウドやベッカム、ジダンにグティなど中心選手たちが軒並み怪我上がりだったこと。監督が期待していたほどそれらの選手のパフォーマンスがトップフォームに戻らなかったことは事実である。そうした冷静な考察をすることが不可能になるくらい、ホームでバルサに0−3で負けるということはマドリディスタにとっては許しがたい出来事なのである。
クラシコ大敗から叫ばれているルシェンブルゴ解任論だが、今監督の首を代えても事態が好転するとは思えない。既にマドリーはブラジル人選手であふれてしまっている。ロナウドやロベルト・カルロス等、一癖ある選手たちを巧みに操るという点で、ブラジルで名声が確立しているルシェンブルゴに勝る監督はそうはいない。それでなくても、シーズン途中の監督交代は大きなリスクを伴うことは誰もが知っているところだ。本気で今シーズンの成功を狙うなら、ここまでそれなりの成績を残しているルシェンブルゴにチームを託すのが最も確率の高い選択肢ではないか。
マドリディスタは全責任をこのブラジル監督に押し付け、追放することで、クラシコではマドリーが負けたのではなく、監督で負けたと現実逃避し、“あの日”を歴史から消し去ることが可能と自己暗示をかけているのかもしれない。
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