マドリーダービーが放映されなかった事の真相
2007年08月28日
利権争いをしている2つのスペインメディア製作会社の横暴によって世界中のサッカーファンがマドリーダービーを見ることが出来なかった。
これが今回のマドリーダービー(ラシン対バルセロナ)が放映されなかった理由だ。ヨーロッパをはじめ、多くの国で国技となっているサッカー。そのビジネスは日ごとに大きさを増し、テレビ放映権はそのサッカービジネスの中でも大きなコンテンツの一つとなっており、巨額の放映権を得ることによって、クラブに分配される資金も潤沢さを増し、その資金が元手としてチーム補強をするという良い連鎖がここまで形成されてきたものの、スペインではそのバランスが崩れ始め、クラブの放映権獲得のマネーゲームが起こり、今回の騒動へと発展している。
ことの始まりは何処からかは明確ではないが、その形が姿を現したのはスペインのメディア制作会社であるメディアプロが7月に09/10シーズン以降のプリメーラ、セグンダ全チームと放映権の権利獲得で合意に達したと伝えたころからだろう。
そして、リーガ開幕前数日前に、もう一つのメディア制作会社であるアウディオビスアルがメディアプロを昨シーズンの放映権譲渡額1億5000万ユーロのうち、5600万ユーロが支払期限を過ぎても払われないことから告訴の構えを見せ、両者の関係が修復の効かない状態と落ちて行き、27日現在ではメディアプロが1節の試合を無断で放送したことから賠償請求額は2億ユーロと跳ね上がっている。
ただ、これだけでは両者の関係が悪いことが分かるだけで、何故マドリードダービーが放送されなかったのかは分からないので、ここから説明したい。今シーズンのプリメーラ20チームのクラブの放映権を持っているのは3つのメディア制作会社で、その一つがメディアプロで、セビージャ、サラゴサ、アスレティック、ムルシア、ラシンの放映権を持っている。次にバレンシア、レバンテ、ビジャレアルの放映権を持っているカナル9、そして残りがSOGECABLE(アウディオビスアルのパートナー)である。
カナル9はメディアプロが土曜日に試合を放送することを理由にメディアプロに譲渡しているため、実際はメディアプロとアウディオビスアルの2社がそれぞれのクラブの権利を持っていることになる。そして、メディアプロは海外メディアへの権利販売権を1億5000万ユーロで昨シーズンアウディオビスアルと合意に達していた。
だが、メディアプロが支払い期間を過ぎても昨シーズンの残りの金額を支払わないことから、アウディオビスアルは支払いが終わるまで自社の持っているクラブの放送を認めないとけん制。
告訴されているメディアプロは支払いは契約どおりに行なわれていることを主張し、アウディオビスアルを無視したうえ、更に今まで暗黙の了解となっていた1試合の地上波放送を3試合(セビージャ対ヘタフェ、ムルシア対サラゴサ、バレンシア対ビジャレアル)放映しただけでなく、節を終える日曜日の試合として今まで地上波と共にPPVで見る必要のなかったアウディオビスアルグループのカナルプルス(デジタルコンテンツ)の時間にバレンシアダービーをあててくる決断を下した。
ここでマドリーダービーへと話が飛び火する。マドリーダービーを戦う両クラブの権利を持っているのは地上波放送を2つ増やされたことでPPV2試合を失ったアウディオビスアル。
彼等はメディアプロが下した決断に反撃をするために、サンティアゴ・ベルナベウへの海外メディアの取材を禁止することを決める。例え、メディアプロが海外への放映権売却の権利を持っているとはいえ、試合を放送するしないの権利を所持しているのはもちろんアウディオビスアルだ。
わかり図来かもしれないが、例えるなら、魚市場(アウディオビスアル)がマグロがあるのに売らないため、すし屋(メディアプロ)は客(各国メディア)にトロを握ることが出来ず、客はトロの寿司を土産に持ってくることを待ちわびている家族(視聴者)に持ち帰ることが出来ず文句を言われるといったものだ。
最後に1節を例に見ていくと、メディアプロが両チームの権利を所有するバレンシア対ビジャレアルや、同様にアウディビスアル両チームの権利を持っているレアル・マドリー対アトレティコ・マドリーは同じ制作会社のため放送に問題は起きない。問題が起きるのは両者が1チームずつ権利を持っているセビージャ対ヘタフェ、ラシン対バルセロナといった対戦であり、スペイン国内でも最後までもめたカードである。
また、海外メディアに関しては、メディアプロが権利を持っているバレンシアダービーなどは問題ないが、対戦カードのどちらかがアウディオビスアルが権利を持っているクラブであると今回のマドリーダービーのような悲劇が起こる可能性はとても高くなっている。
2節のカードを見ても、土曜の試合はメディアプロが権利を持っているサラゴサ対ラシン・サンタンデール、レバンテ対ムルシアというものとなっている。現在、ラシンとアスレティックがメディアプロとの契約を続けないことを明らかにし、メディアプロの権利取得クラブがセビージャ、サラゴサ、ムルシアの3チームとなるため、バレンシア3クラブの権利を持つカナル9も土曜日の地上波放送の実現の可能性が低くなることから、メディアプロとの協定を破棄する可能性が高いといわれており、メディアプロ、アウディオビスアル両者の確執は沈静化する様子を見せておらず、今後も視聴者が望むカードの放送が出来ない可能性を大きく秘めている。
