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はた目には面白い試合だったが…
2008年03月30日
見ている分には楽しい試合だった。好守の切り替えの早い試合展開、カウンター、ドブレペナルティ、退場者、ポストを叩くシュート、監督に怒鳴られて泣く選手、色々な要素のあった試合、それが、モストレスがコルドバに4対3と勝利した試合だった。
ただ、試合後の藤田の顔には勝利に満足しようとしているものの、監督、チームメートに対する不満が見て取れるものだった。スペインで過ごす日本人なら誰でも経験する、スペイン人の自分勝手さ、結果主義の行動に、奥ゆかしい大和撫子の堪忍袋の緒は切れる寸前だ。
試合は藤田のシュートから始まる。一本目は上手くミートをすることが出来なかったが、左サイドから切り込み、右足を振り切ったシュートはセオリー通りのものだった。だが、コルドバはモストレスが目標にしている相手であり、ダビ監督にとって勝利が何よりも欲しい相手であり、サイドにフリーの選手がいたことから藤田には「何故パスを出さなかったんだ」とスタンドにも聞こえる大きな声で叱責。
思い通りのプレーがチームに出ていない時に、ダビ監督は選手たちに大きな声で指示を出す。ただ、この支持を選手たちは激励というよりも命令と感じているところがあるのか、叱責されないようなプレーを展開することに。
相手のコルドバは、気が強いのもいれば、弱いのもいる、体が大きい選手もいれば、小さな選手もいるモストレスとは違い、しっかりとしたアスリートを揃え、壁パス、サイドへの展開を使いモストレスゴールに襲い掛かる。だが、この日の勝利の女神はモストレスに味方。コルドバが豪快なミドルシュートを決め先制をするが、ピヴォのベアがヘディングでの得点を含む2得点を挙げる活躍で前半を終了。
更に、後半には相手チームの9番が退場したことから数的優位になり、パワープレーを使いソフィが3点目を追加。これだけなら、モストレスが順当に試合を支配しているかに見えるが、3点目の前にはドブレペナルティを2回失敗。さらに、完全有利なはずのパワープレーの時に、カウンターからチャンスを作られるものの、コルドバの放ったシュートは2度ともポストが防いでくれるなど、モストレスに大きく運が味方したものだった。
白熱した攻防の裏でモストレスベンチに小さな事件が起きる。監督にパワープレーの際のポジショニングの悪さを怒鳴られた10代のインマが一目もはばからず、涙を見せ、チームメート、フィジカルトレーナーが慰めるという一幕が起きていた。
3対1と優位の流れのはずが、どこか嫌な雰囲気に包まれているモストレス。その雰囲気を打ち消したのが、藤田だった。反則ギリギリのピッチインから左サイドでゲームを作り、ルームメートのソフィにパスを出し、中へ走りこむ。阿吽の呼吸で戻ってきたボールをGKの位置をしっかりと確認した上でネットに流し込み、追加点を獲得。
前半はこれまでに比べると短い出場期間だったが、後半は、外国人ながら戦術をしっかりと理解し、サボることのない藤田をダビ監督は長くピッチに出す。その影響か、17分にはフリーの場面を迎えるが、トラップミスを犯してしまったが、それは目をつぶざるを得ないもの。試合はその後、コルドバに2点を奪われるが、何とかモストレスが勝利。目標の3位に勝ち点1のところにつけている。
目標とする相手からの勝利。だが、前述したとおりに藤田はスペイン人に合わせ、自分を押し殺していることでストレスを感じている。バッティングセンターのようなはけ口があれば、良いのだが残念ながらスペインではそういったものは見当たらない。
相手を尊重する社会で育ってきた日本人にとって、個人主義かつ結果主義のスペイン人を相手にすることは苛立ちが募るものであるのはよく分かる。藤田がこの情況を抜け出すには、自身もスペイン人と同じように自分を第一に考え、自分勝手に振舞うことが一番だが、言葉の壁もあることを考えると簡単にはいかなそうだ。
